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エロゲー制作ブログ

2020.07.31

第3回
『 テキスト周りのお仕事 』

ライターのお仕事

原画同様「ライター」も、この業界では基本スペック欄に記載され皆さんが購買の指針にしてくる注目度の高いポストになります。 パッと見ただけで好みかどうかを判別出来る絵とは違い、文章は実際に読み進めないと判別出来ないため 制作側としても魅力を伝えるのが何気に難しかったりします。

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「ライティング作業」と一言で言っても、その作業内容は企画に応じて様々です。
大雑把に3パターンに分けると

1:プロットを受け取り、それに合わせてテキスト作業
2:プロットを作成し、テキスト作業
3:企画から携わりキャラクターやプロットを作成、テキスト作業
※「プロット」とはストーリーの要約のことで、絵でいうところの「コンテ」、漫画でいうところの「ネーム」だと思って下さい。

下に行けば行くほどライターの世界観や個性が強く反映されていきます。
しかしながら、必ずしもその方が製品として良くなるとも限らないのでここらも実際のところはケースバイケースになります。コンセプトを踏襲しつつ全体構築するのがうまい人もいれば、純粋なテキストでの表現がうまい人もいます。 勿論その逆もあるので事前に打ち合わせをしたりしてまとめます。

ゲームのテキストは作業内容が非常に重く、文庫本にすると8冊ほどの文量になるため複数人で作業する事が多いです。 複数人で作業する際は、ヒロイン毎に担当を決めて進行するのがお約束ではありますが SMEEの『フレラバ』や『カノジョステップ』のように全員で全ヒロインを書くというやり方をするときもあるので 分担の仕方もケースバイケースです。 企画の趣旨やシステム的な部分、作業者の得手不得手などで作業の仕方や担当箇所は変わってくるので 「シナリオライターはこういう仕事をします」と断定しにくいな、と個人的には思っております。

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テキスト(文章)にのみの話になりますが、どんなに良いプロットでもテキストがダメだとプレイヤーはついて来てくれません。最後まで読むと面白いのなら、尚更そこまで読み進められるように持っていくのがテキストの技術だと思っています。
平仮名が多くても読みにくいし、漢字が多くても疲れます。 ゲームのときには音や視覚処理もされてくるので、テキストだけで全てを表現しようとすると多重表現になり回りくどくなります。

テキストファイルは自由に作れるわけではなく、ゲームの仕様に合わせる必要があります。 例えばテキストウィンドウ内に収まる文字数が32×3くらいなら余り意識はしないでいいですが 24×2とかであるなら結構な制限になります(数字は適当です)。
イベントCGの内容や差し込み場所の確認、どんな背景があるのかを考えて書かないとゲーム画面にしたときに 反映出来なくなるので注意が必要です。
作業時に絵素材が揃っているわけでもないので、想像で処理しなければいけない事も多々あります。 テキスト内にメモを入れておいてスクリプトや音声収録のときに活用したりもします。 また、1ファイル毎に容量を指定されるのが基本であり、オーバーしてもダメですし足りな過ぎてもダメです。 ヒロインのボイス数制限が入るパターンも、昔に見たことがあります。

中身に関しても、恋愛主体のゲームであるなら恋愛描写が第一になりますが 「じゃあヒロイン同士の掛け合いて無くていいの?」※入れると容量が増えるので何かを削る必要有
「ギャグとかコメディ描写の頻度はどの程度?」※面白いと感じさせる要素になるが、プレイヤーとの感性が合わないとマイナス
「主人公にどのくらい色をつける?」※主人公が受け入れられないとヒロインにたどり着けなくなるので一番大事

このように、単なるワンクリックのなかにも考えなければならないことが沢山あり、 基本は簡素にしつつも最低限必要な情報を詰め込んでいく匙加減が大事です。 あまりにも考える事が多すぎ、全部をやろうとするととてもじゃないけど書けなくなるので 作業進行がしやすいレベルでまとめられます。

シナリオ作成後に収録に向けて台本化をするのですが、音声以外の部分は修正が可能なので スクリプト作業時に調整しちゃうことも……。

オマケ

おまけ4作品イメージ

『Sugirly Wish』
ここから複数ライン体制を作っていったので発売ペースがあがりました。新体制のなかで様々な模索をしてカタチにしていった記憶があります。ヒロイン視点でもあるガーリートーキングを初めて採用した企画ですね。

『Strawberry Nauts』
「プレイヤーに優越感を与えたい」というディレクターの想いをカタチにしていき、PITというシステムを構築したのですが プレイヤーはPITのモブに感情移入をしてしまうというナナメ上の結果に困惑しました(笑) 穂海ルートは会社としてもかなりチャレンジブルなものでした。

『LOVELY QUEST』
HOOKSOFTはずっと「純愛」を謳っていたからこそ許された企画かもしれません。ラブクエ活動の中身のネタのパターン出しが 結構大変でした。やり過ぎると凌辱ぽくなるし、抑えすぎるとよくわからないし。

『PriministAr』
上のラブクエもそうですが、この辺りは学生服のデザイン……特にカラーリングに悩んでた辺りだなーと。 毎回同じようなカラーリングになっているのでもう少し個性を出すべきか否かと。その上で黒のリボンを採用されたのですが 個人的には気に入ってます(普段はここが赤か黄になってました)。

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