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「……暴力じゃ、何も解決しないんです。
どちらが強いかを競ったところで、遺恨しか残りませんから」
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「だから、アイツらに頭を下げてたのか?」
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「俺は別に、
ケンカに強くなるために稽古してるわけじゃないですから」
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「…………」
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「本当は、偉そうにリーダーなんてやれる人間じゃないんですよ。
俺は」
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「京香はそのことを知ってるのか?」
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「ええ」
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「そっか……だからミッチーのことをリーダーに選んだんだな」
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「どういう意味ですか、それって」
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「苦労も知らないお坊ちゃんじゃ、
バックセットをひとつにまとめることは出来ないってことさ」
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「…………」
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「完璧な人間なんていないんだぜ? みんな、色んな失敗をして、
たくさん悩んで、必死に毎日を生きてるんだから」
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「格好悪くたっていいじゃんか。遠回りでも、周りの連中が近道して いっても、ミッチーはミッチーのやり方で頑張れば」
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「安美さん……」
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