修学旅行の夜に問われた、なにげない一言が物語を形作る。
今まで少しも意識していなかった、異性への憧れ、戸惑い、高揚。
始まりはなんて事のない一瞬だった。
一瞬の輝きだった――
HOOKの第5作目となる『_summer』は、夏の始まり、
誰にでも訪れる淡い恋模様と少年から大人へと駆け上っていく瞬間をとらえた物語です。
ほんの少し手前を意味する、 _ (アンダーバー)。
夏の手前、恋の手前、そして物語の手前に位置し、これから始まる暑い夏と、
熱く焦がれる恋の直中へ飛び込んでいくことになります。
前々作『OrangePocket』では、転校生の訪れを機に、
夕日に包まれた放課後で、新しい流れに背中を押されるように変化していく主人公たちの関係が。
前作『Like Life』では、都会の、ある意味冷めた人間関係の中で、
人や人でないモノたちとで交わされる、温かい主人公たちの関係が描かれました。
そして今作『_summer』では再び舞台を田舎に移し、学園物としてこれまで培ってきたものを昇華させつつ、
好評を頂いた前作、前々作とはまた異なる切り口で挑戦しています。
『_summer』の舞台となるのは、熱を持った海風が吹き付ける片田舎の海辺町、「成西(なるせい)市」。
観光シーズンには露店が立ち並ぶ、温泉旅館や土産物屋のあるほのぼのとした町並み。
商店街には駄菓子屋と、顔見知りの経営する和洋折衷な洋食屋。
娯楽らしい娯楽もなく、 若者は備わった若さを持て余しています。
海岸線には海水浴場と漁船の停泊する港。
神社では夏祭りが行われ、打ち上げ花火がシーズンの目玉となっています。
田舎町ののんびりとした温かい雰囲気が、かつて子供の頃に感じた懐かしさを演出します。
隣に住むお人好しな幼馴染みや、ずっと共に暮らしてきた世話の焼ける義妹、
腐れ縁だがさばさばしていて心地よいクラスメイトや、一緒に馬鹿をやれる憎めない親友たちに囲まれて、
主人公は、昔から続いてきた、気兼ねも男女差もない関係に身を置いています。
「――好きな奴、いるか?」
それを、親友のなんてことない一言が、主人公の意識を揺れ動かし、物語が動き始めます。
HOOK 5th project 『_summer』 ――で、恋をしてみませんか?
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